こんばんは、新田です。
書こう書こう!
・・・とずっと思ってて書けなかったんですが、
君の名は。についてのメルマガを
ようやく書く決意をしました。
書けなかった理由は、
ネタバレ無しに書けないからです(笑)
うまいことネタバレを回避して・・・
と思ったんですけど、無理だったんで諦めてたんですが、
「これだけヒットしてたら、もう皆見てるし、
まだ見てない人は、きっともうネタバレしても良い層のはず!」
と思って、ネタバレアリで書くことにしました。
この映画、ホント面白かったので、
珍しく2回観てしまい、パンフレットとテーマソングのCDまで買ってしまいました。
まぁ内容は、王道な感じで「(一見すると)大衆向け作品」です。
一見すると、というのがポイントなんですが、それはあとで話します。
因みに、大衆向け作品って、ねじれの人は大体嫌います。
例えば、むかし、半沢直樹がヒットしましたが、
ねじれの人はたいてい批判してました。
「あんな上司に土下座させるなんて、結局恨みをかうだけで、
あれを見てスカっとするとか言ってるやつはどうなんだ」
みたいなことを言ったりするわけです。
まぁ一理あるんですけど、
それはそれとして、純粋に楽しめば良いじゃん、
と思ったりもするわけです。
君の名を。も、話自体はよくあるパターンです。
ここ数年で見た映画で言ったら、
・インターステラー
・Stand by meドラえもん
とかと、構造的には同じかな?と思います。
(この2つも、めちゃめちゃ面白いんで、ぜひ観て欲しい映画です。)
2つの時間座標で同時に話が進み、
主人公は「確定された未来」を知ります。
その”決まった運命”を、なんとか変えようとするのです。
運命というものは、普通に生きていても変えることはできません。
なんとか変えようと必死に行動するのですが、
それでも変わらず、一度は諦めかけます。
しかし、その時に、
人知を超えた奇跡が起こります。
という感じのパターンなのですが、
インターステラーの場合、それは、
「量子力学と相対性理論を超えた物理法則」
であり、
Stand by meドラえもんの場合、それは、
「のび太の強い確信」
であり、
君の名は。の場合、それは、
「主人公(瀧)の三葉への想い」
です。
インターステラーでは、
最後のシーンで、主人公が4次元立方体にワープします。
(このシーンは、君の名は。の瀧が口噛み酒を飲んだ直後とそっくりです。)
そして、過去の時間にいる娘に、
メッセージを送ります。
ただし、「言葉」は伝えることができません。
物理的には、時空を超えて届く唯一の情報が、「重力波」だけなのです。
時間を超えた世界に情報を届けようとした時に、
間に仕切られた「膜」を通過できる素粒子が、
重力を司る「グラビトン」のみだからです。
主人公は、ブラックホールの中に吸い込まれて、
まさに死を覚悟していた状況だったのですが、
そんな時に4次元立方体にワープしたことで、
重力波を使って、過去の時間にいる娘に、
ブラックホールの内部の情報を送るのです。
ブラックホールの中心は、
量子力学(ミクロな世界)と相対性理論(マクロな世界)という
本来は矛盾する2つの理論が共存する場所であり、
その情報が最後のピースとなって、主人公の娘は、
2つの理論をムスぶ新たな理論を作ったのです。
統一理論
/ \
量子力学 相対性理論
それによって、過去が変わって、
主人公は助かったのです。
これはStand by meドラえもんでも同じストーリーでした。
この映画では、のび太は、大人ののび太(未来ののび太)との「入れ替わり」をします。
のび太としずかちゃんが雪山で遭難して、
死ぬかもしれないという状況で、
のび太は最後の手段に出ます。
「未来の僕は、絶対に今日という日を覚えている筈。
今、僕がこの状況を絶対に忘れなければ、
未来の僕はきっと思い出して、助けに来てくれる筈だ!」
(うる覚え)
と考えたのです。
そして、天に向かって、
「未来の僕よ、今日という日を思い出せ!!」
と念じたのです。
すると、未来で寝ていたのび太は、
急に記憶が蘇って来て、
過去ののび太を助けて来てくれたのです。
のび太が運命を変えることができたのは、
「絶対に未来の自分は覚えている筈」
という強い確信(コミット)です。
その強い確信が、時空を超えて、運命を変えたのでしょう。
さて、
「君の名は。」
に話を戻しますが、
この映画において、
「運命が変わった瞬間」
というものがあります。
それが、かたわれ時に、
主人公(瀧)が三葉の手に例の言葉を書いた瞬間です。
その直後に、三葉は消えてしまいました。
それはカタワレ時が終わったから、とも捉えられるし、
あるいは「あの瞬間に運命が変わったから」とも
考えられるのではないかと思います。
そして、あの時点においては死んでいる三葉と、
生きている主人公(瀧)が出会える時間がカタワレ時だったのですが、
瀧が三葉の手に書いた瞬間に、
死ぬ筈だった三葉の運命が変わったため、
あの場所からは消えてしまったのです(あくまで1つの解釈)。
あの時、瀧は、
「目が覚めても忘れないようにさ、(手に)名前書いとこうぜ。」
と言って書きました。
しかし、実際に書かれていたのは、名前ではなかったのです。
あれが、あの映画における
「主人公最大のファインプレー」
でしたね。
合理性を超えた、まさに”神がかり”の行動です。
もし、普通に名前を書いていたら、
文字ごと消えてしまっていたかもしれません。
(スマホの日記の内容が消えたことからも、
「本来知り得ない情報」は消えるので、おそらく名前は消えてしまうはずです。)
しかし瀧は、名前を忘れたとしても、
想いだけが伝わればそれで良い!と考えたのです。
その時にはもう、彗星をどうこうしようとか、
そんなことすら考えてなかったのかもしれません。
ただ時空を超えて、想いを伝えたかった。
一度は諦めかけていた三葉は、手の平に書かれた言葉を見た瞬間、
また立ち上がって、走り出しました。
瀧の名前を忘れ、もしかしたら瀧との記憶は全て消えてしまったかもしれません。
しかし、彼の想いだけが伝わり、それが三葉の原動力となったのです。
最後、父に再び会いに行くシーンでは、
一度は拒んでいた父が、娘の確固たる意志を持った目を見て、
それまでとは違った反応をしていました。
そもそも、父は、
「妄言は宮水の血筋か・・・」
ということを口にしていたので、
おそらく、三葉と同じ、宮水神社の神の力を、
既に体験していたのでしょう。
三葉の母が死んだ時に、
「救えなかった・・・」
とも言っていたことからも、
もしかしたら、その入れ替わりは、
母を救うことに関係していたのかもしれません。
しかし、それは失敗に終わり、
父は神事が嫌いになり、神社を離れて、
それとは真逆の「政治の世界」に進みました。
そして、入れ替わりの記憶も消え、
そういった話を信じなくなっていったのです。
それを変えたのは、三葉の確固たる意志であり、
それを生み出したのは瀧の行動です。
まさに、2人の力で、予定調和を変えた、と言えるでしょう。
三葉は、
「宮水家における入れ替わりは、彗星から皆を救うためだったんだ!」
と確信します。
そもそも、もし母が死んでいなかったら、
父は政治の世界に行っていなかったので、
たとえ彗星災害が予知できたとしても、皆を救えなかったでしょう。
そして、三葉が来たシーンで、祖母(一葉)もそこにいたことと、
再び来た時の父の「お前までまた・・・」という発言から、
祖母が先に来て父の説得に協力してくれていたのだと推測されます。
父は、もしかしたら神事に失敗したと思っていたかもしれないけど、
結果的に、最大の目的である「彗星から皆を救う」という
宮水家全員に課せられた使命は、全員の力で成し遂げたことになります。
(もしかしたら母の死を回避しつつ全員を救う、
というルートもあったのかもしれませんが、
少なくとも、母の死は決して無駄ではなかったのです。)
因みに、あの映画に出ていた「ティアマト彗星」ですが、
ティアマトは、神話に出てくる海の女神で、龍の姿をしていて、
死ぬ前に分裂して11の魔物を生み出しています。
(実際に、映画冒頭で分裂して落下した彗星の数も11つでした。)
瀧(=サンズイ+龍)という名前も、それと何らかの関係がありそうです。
サンズイが付いているのは、あの物語のキャラクターは全て「水」に関係しているからです。
ちなみに、「三葉」は、ミツハノメ(ミズハノメ)という水の神様を表しているのかもしれません。
あの作品においては、瀧と三葉はもともと1つの魂だったものが
分裂して分かれたので、それを彗星と重ねて描かれています。
かたわれ時において、瀧は「三葉の半分」である口噛み酒を飲みました。
その前に、ムスビの説明の時に、お茶を飲むシーンがあって、
「それもムスビ。水でも米でも酒でも、人のカラダに入ったものが、魂とムスびつくのもムスビ。」
という説明があったので、これのお陰で、もう一度会うことができたのです。
また、主題歌は「前前前世」でしたが、
三葉にとって、瀧は前世、とも捉えられます。
逆に、瀧にとっては三葉が前世なので、
三葉にとっては、自分自身が前前世、
その三葉にとって瀧は前前前世となります。
なので、歌にある、
「君(三葉)の前前前世から僕(瀧)は 君を探していたよ」
は、「入れ替わり前」のことを言っているのではないかと思われます。
実は、あの映画を2回目観ると分かるのですが、
映画の冒頭で、いきなり三葉が組紐を瀧に渡すシーンが来ています。
また、三葉の組紐を、瀧は物語の最初の方から頻繁に手に付けています。
ただし、入れ替わりをしている間は付けていません。
これは、瀧が組紐をどこかに大事にしまっていて、
入れ替わっている間は三葉はそれに気付かなかったからでしょう。
(気付いたとしても、自分が持っている筈の組紐を持っているという矛盾が起こるので、
その記憶は消えてしまうでしょう。)
逆に、瀧も三葉が引き出しにしまっていた組紐に気付かなかったので、
お互いが、同じ組紐を持っていることを気付かなかった、ということになります。
さて、冒頭のシーンに話を戻します。
まだ入れ替わりが起こる前なのに、何でもう出会ってるの??と最初観た時は思ったんですが、
「時間軸のズレ」への伏線は冒頭から仕込まれていたのです。
因みに、時間軸がズレている伏線は、
あちこちに張られていたことが、2回目観るとよく分かります。
同じ日なのに曜日が微妙に異なっていたり(3年ズレているため)、
iPhoneのバージョンが変わっていたり(iPhone5と6)。
CMで「あの男(女)は!!」と二人が同時に出ている時に、
瀧の手首と三葉の髪に同じ組紐が付いているのもヒントになっていました。
そして、瀧のデートプランに、
「デートが終わるころには、空に彗星が見えるね。」
と書いてあったけど、瀧が空を見上げても彗星が無かった、
というところで、多くの人が違和感に気付いた筈です。
また話を戻しますが、冒頭で、組紐を渡されたことで、
縁起の糸がムスばれて(魂レベルでは最初からムスばれていましたが)、
瀧は前前前世の記憶を必死に思い出しながら
前前前世から=入れ替わりをする前から
ずっと三葉を探していました。
前世の記憶は、ほとんど全て消えてしまいます。
しかし、「感覚」だけは残っているのです。
糸守の文化は、1000年の歴史があるとされていましたが、
1200年前の彗星落下以降、再び彗星が落下することが予言され、
それを予知した人たちが、なんとかそれを後世に伝えようとしました。
ところが、記憶は消されてしまい、
スマホの日記が消えてしまったように、
確信に迫る内容を残すと、消されてしまうのです。
(おそらく、本来知る筈がない未来の情報を残してしまうと、
帳尻を合わせるために修正プログラムが働くのでしょう。)
だから、「文化」として残しました。
その1つが「巫女の舞」だったのです。
巫女の舞の最後は、三葉と四葉が、紐のついた鈴を使って、
彗星が分裂して落下することを暗示する踊りをします。
このように、歴史の修正がかからないように工夫をして、
来たるべき日に先祖代々が備えてきた、神事だったのです。
・・・という感じで2回目観ながら色々考えてたんですが、
この映画のスゴいところは、あまり深いトコを気にせずとも、
純粋に、ストーリーが分かりやすく、王道を貫いているので、
誰でも楽しめる点です。
(インターステラーとかは、物理知らないと内容が意味不明になります。)
だけど、よくよく見ると、とても深い!
「大衆向け」のフリをして、すごく深いテーマを扱っています。
しかも、この映画、予告を観た印象と、
実際に観た印象って、全く違うんですよね。
正直、予告だと、全然この映画の魅力が伝わってません。
しかし、今回はそれが逆に良い方向に働いたのだと思います。
実際に見たら予想のはるか斜め上を行ってたので、
「え!全然想像してたのと違うじゃん!!」
となります。
ある種の認知不協和の状態で、
人は、良くも悪くも、この状態に陥ると、
シェアしたくなるのです。
それで、思わずSNSで拡散した、って人が大量に出てきて、
SNSで広がっていった感じですね。
本当は面白いのに予告であんまり面白そうに見せない、
ってのは、実は現代においては最強のバイラルマーケティングになるのかもしれません。
因みに、インターステラーは、重力子(グラビトン)によって運命を変えましたが、
「想い(重い)って運命を変える力があるんだな」
ってことですね(ダジャレですw)。
最近は、AIが発達して、
技術的特異点(AIが人間の能力を上回る点)を超える時も近いんじゃないか、
とか言われたりしていますが、
こういう映画は、いくらロボットが発達しても、
絶対にできないことを描こうとしていると思うんですよね。
ロボットだったら、普通に手に名前書いてたと思うんです。
なのに、あの状況で、明らかに非合理的な行動。
ロボットには理解できない行動が、
「運命を変える力」
になったのではないでしょうか。
というわけで、
こんな感じの予備知識を入れて、
2回目観ると、かなり楽しめると思うので、
一度観た方も、ぜひもう一度観ることをお勧めします!(笑)
それでは、今日はこの辺で。
また!!
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