こんばんは、新田です。
今日から、
「世界の歴史から学ぶストーリーの型」
という新シリーズを
連載していきたいなと思います。
ストーリーって、
「どういう型を使うか??」
によって、全く違ったものとなる、
ということを、僕はずっと言ってきました。
同じ事実があっても、
それをどのように伝えるか??によって
相手の印象は全く変わる、ということです。
そして、その「ストーリーの型」は、
「国によって全く違う」
のです。
これをですね、色んな国の歴史を見ながら、
学んでいこう!!
というのが今回のテーマです。
今日の話を知るだけで、
「世界史の全体像」
が見えてくるはずです・・!!
受験生の時に、ただ暗記をさせられて、
全然よく分からなかった!って方も、
ぜひ、ストーリーの勉強だと思って
読んでみて欲しいなと思います。
今回、歴史について解説するために、
小名木先生にインタビューさせて頂いて、
それぞれの国の歴史について、詳しく聞かせて頂きました。
それも踏まえて、
各国のストーリーを
見ていけたらと思います。
ではいきます!
まず、世界史は、
「前半」
と
「後半」
で、雰囲気がガラリと変わります。
具体的には、
「大航海時代」
が大きな転換点です。
(前半)→(大航海時代)→(後半)
さて、前半と後半で何が違うか??
というと、後半になるにつれて、
「あちこちの国が交流しだして、
ストーリーが複雑になっていく」
のです。
まぁ、物語って、大体そうですよね。
ワンピースも、進撃の巨人も、
名探偵コナンも、NARUTOも、
どの漫画を見ても、
最初はキャラが少なくて、
ストーリーもある程度ワンパターンで、
分かりやすいです。
でも、徐々にキャラクターが増えていったり、
関係性が複雑になっていって、
途中から読んでもわからなくなっていくのです。
世界の歴史も、同じだということです。
最初は、それぞれの国(地方)に、
独自のストーリーがあったのですが、
だんだん色んな国との交流が激しくなったり、
植民地にしたり、されたりもするので、
物語が複雑になっていきます。
なので、今日のテーマである、
「ストーリーの型」
を見ていこうと思ったら、
「世界史の前半戦」
を見ていくと分かりやすいです。
前半戦で、ストーリーの型が作られて、
後半戦は、それが複雑に入り組んでいく、
という形なのです。
では、どの国(地方)を見ていけば良いか?
ということですが、大きく分けて、
・ヨーロッパ(西洋史)
・中東
・インド
・中国(東洋史)
・日本
この5つです。
世界史って色んな国が出てきて、
わけ分かんなくなりがちなのですが、
まずは「ざっくり5つ!」と思ってもらえたらと。
受験の「世界史」では、
日本は除かれることが多いですが、
そもそも「日本史」と「世界史」を
別々に考えること自体がおかしいと思ってます。
なので、
「世界史」の中に「日本」も組み込んで考えます。
世界史の前半、
「5つのストーリー」
をまずは覚えます。
アメリカとかは、だいぶ後に登場する国なので、
大航海時代までは無視します。
なので、これら5つだけを見ていきたいのですが、
面白いことに、これら5つは、
「ストーリーの作り方」
が全く異なるのです。
そこを見ていかなければ、本質が分かりません。
もっと言えば、
それぞれの国(地方)における、
ストーリーのテンプレートがあります。
毎回、お決まりのパターン!
ってやつです。
例えば、ドラえもんって、
毎回お決まりのパターンですよね。
のび太くんが虐められて、
ドラえも〜んって言って、
しょうがないなぁって道具を出して、
それでうまくいくんだけど、
のび太は欲をかいてしまって
最後は痛い目見て、
再びドラえも〜んって泣きついて終わる。
細かいストーリーとかは毎回違いますが、
ほぼ、この「テンプレート」通りに
話が進みます。
これが、
「ストーリーの型(原型)」
です。
そして、これが、
それぞれの国(地方)に
存在するということです。
なので、これを抑えると、
歴史の勉強は楽しくなります。
では、それぞれのストーリーを、
具体的に見ていきたいのですが・・・
実は、
・ヨーロッパ(西洋史)
・中東
・インド
・中国(東洋史)
・日本
この5つの中で、
中東・インドだけは、
特殊なのです。
どういうことか?と言いますと、
小名木先生いわく、
「インドと中東は、ストーリーとしての歴史は存在しない」
のだそうです。
なぜでしょうか??
そもそも、
「ストーリーとしての歴史」は、
「因果関係」
があって、はじめて成り立ちます。
つまり、
Aさんがこんなことをした。
なので、Bさんがこんなことをした。
なので、Cさんが・・・
という感じで、
原因 → 結果
という関係性によって、
ストーリーが展開していくのです。
しかし、例えば中東では、
この地方の人たちの価値観は
「イスラム教」
です。
そして、イスラム教ってどういう考え方か?と言うと、
「全てはアッラー(神)の思し召しによって決まる」
なのです。
「〜〜朝という王朝ができました!!」
なんで??
「アッラー(神)がそうしようと決めたから」
みたいな感じです。
つまり、因果関係が全て、
神がそう考えた(因)
↓
こうなった(果)
なのです。
だから、
「歴史になりようがない」
のです。
また、インドも同様です。
インド思想の根底にあるのは、
「輪廻転生(生まれ変わり)」
という考え方です。
これは、
「今世で起こることは、全て、前世の因縁やカルマによって決まる」
という価値観なのです。
例えば、今世、AさんとBさんは仲が悪いです。
なぜか??
前世で、AさんとBさんが争っていて、
その因縁が残っているから。
今世、Aさんはずっと多くの人に虐められています。
どうして??
それは、前世でAさんが多くの人を虐めていたから、
その業(カルマ)によるものだ。
こういう考えなのです。
なので、
前世での行い(因)
↓
今世で起こること(果)
となり、これも歴史にならないのです。
ちなみに、インドは、
途中からイスラム教も入ってきて、
インドの思想と融合していきます。
イスラムは先ほど言った通り、歴史にならないので、
結局、どちらもストーリーとしての歴史が
作れないのです。
なので、実際に世界史の教科書を見たら分かりますが、
ヨーロッパや中国は、ちゃんとストーリーになっているのに、
中東とインドは、ストーリー性がほとんどありません。
〜〜朝という王朝ができて、
それが滅んだら次は〜〜朝という王朝ができて・・・
みたいな、そんな感じです。
つまり、「点」として存在し、
「線」になっていないのです。
でも、逆に言えば、
ここはストーリーライティングの
威力が発揮されるところでもあります。
つまり、「点」としてしか存在しないなら、
「線」を勝手に作ってしまえば、
中東、インドの歴史は、
あっという間に覚えてしまうことができるのです。
パッとストーリーを作ってしまって、
10分くらいで、全ての流れを覚えてしまうことができるので、
それはまた、別の機会にやりたいなと思います。
さて、では、残りの、
・ヨーロッパ
・中国
・日本
についてです。
これらには、明確に「ストーリーの型」が存在します。
なので、それを見ていきましょう。
まず、ヨーロッパの歴史(西洋史)の
ストーリーの型となっているものは、
「ヘロドトス」の書いた『ヒストリアイ』です。
これが全ての原型となっています。
もっと言えば、「ギリシャ神話」です。
神話って結構、ストーリーの型を作っている場合が多く、
西洋のストーリーは、ギリシャ神話が
ひな型(原型)となっている場合が多いです。
この西洋の神話のひな型を、
「ヒーローズ・ジャーニー(英雄の冒険物語)」
と言います。
ヒーローズ・ジャーニーとはどういったものかと言うと、
「日常の世界(平和な世界)があったんだけど、
ある日、外の世界があることを知りました。
(あるいは、外の世界から敵が攻めてきました。)
なので、英雄(ヒーロー)が立ち上がり、活躍し、
悪を倒して、宝を手に入れました。
こうして、再び平和な日常が戻って来ましたとさ。
めでたしめでたし。」
これが、ヒーローズ・ジャーニーです。
ハリウッド映画などは、
基本的にはこのストーリーのパターンが
使われているのです。
そして、ヨーロッパの歴史は、
全てこのヒーローズ・ジャーニーが
原型となったストーリーになっているので、
これを頭に入れた上で見ていくと
ストーリーが頭に入ってきやすいのです。
一方で、中国はどうでしょう??
中国にも、ストーリーの型が存在します。
中国のストーリーのひな型となっているものは、
「司馬遷」が書いた『史記』です。
これは、簡単に言うと、
「ロクでもない皇帝が出て来たせいで、
国が荒れ、民が苦しめられていて、
そんな時に”徳の高い人間”が現れて、
その人徳によって国が1つになりました。」
というものです。
中国には、もともと「儒教」「道教」といった、
非常に素晴らしい思想がありました。
特に、「儒教」では、
「徳」が大事にされてきたので、
「徳のある人間がリーダーとなること」
が素晴らしいことだという考えを
持っていたのです。
・・・にも関わらず、中国では、
「何度も王朝が滅んでいる」
のです。
そして、歴史を見ると、
新しい王朝ができたばかりの時は
徳の高いリーダーがいたのに、
その後、すぐ、ダメなヤツが出てきて、
好き勝手やって民を苦しめたり
女に溺れて堕落したりして
結果、国が滅びます。
そしたらまた、新しい「徳の高いリーダー」が誕生して・・・
というパターンを繰り返します。
どうして、こういうストーリーになっているのか??
「中国の歴史」は、
「新しくできた王朝が、
今の王朝がいかに優れているかを伝えるために
前の王朝がいかにダメだったかを語る」
のです。
つまり、それぞれの歴史は、
次の王朝ができてから語られるのです。
そのために、
前の王朝:徳が低い→滅んだ
↓なので
新しい王朝:徳の高い人によってまとまった
という構図を作ったのです。
しかし、これはあくまで
「ストーリーの型」
であって、実際は少し違います。
実際は、どうして王朝が滅ぶのか??と言うと、
ほとんどが、
「疫病(えきびょう)」
「大洪水(だいこうずい)」
「飛蝗(ひこう・バッタの大群のこと)」
です。
これらによって人口の多くがいなくなった地域に、
たまたま被害を受けなかった地方にいた人たちが来て、
新しい王朝を作るのです。
でも、それだとストーリーとして面白くないので、
「前の王朝は、徳が低かったから滅んだ」
ということにするわけです。
だから、中国の歴史を見てみると、
徳の高い人が登場して国がまとまる
↓
徳の低い人物が出てきて荒れて滅びる
ーーーーーーーーーーーーーーー
徳の高い人が登場して国がまとまる
↓
徳の低い人物が出てきて荒れて滅びる
ーーーーーーーーーーーーーーー
徳の高い人が登場して国がまとまる
↓
・・・
という感じで、
「ストーリーが断絶されている」
のです。
ここがポイント。
これは中国の歴史全体を通して言えることで、
春秋戦国時代(キングダムの時代)があったり、
三国志の時代があったり、
色んな時代がありますが、
これらには関連性・連続性がなく、
「完全に別モノのストーリー」
なのです。
つまり、中国の歴史は、
「短編集」
だと考えると良いでしょう。
短編と言いつつ、
1つ1つは長編ストーリーが作られていますが、
毎回のシリーズはきちんと「完結」するのです。
なので、小さなブロックに分けて、
それぞれのストーリーを見ていくと良いでしょう。
(しかも、毎回同じパターンです。)
余談ですが、漫画「キングダム」も、
荒れ果てた戦国時代を、
徳の高い王(政)が登場し、1つにまとめる、
というストーリーなので、
大きな枠組みとしては、中国のストーリーの型になっていて、
さらに、細かいストーリーは、日本のストーリーの型という、
非常に素晴らしい構成になっています。
(まぁ、実際は、政は結構無茶苦茶な人物だったので
だいぶ綺麗に描かれてるんですが・・・笑)
さて、
では最後、日本です!
実は、日本にもストーリーの型があったのですが、
途中から書き換えられてしまったのです。
もともと、歴史において、
日本でストーリーの型となっていたのは、
「日本書紀」
でした。
古事記もありますが、もともと日本人は
日本書紀で歴史を学んでいたのです。
なので、今は、ストーリーの型は、
「古事記」
「日本書紀」
の2つを見ていくと良いでしょう。
この2つの特徴としては、
「神話と歴史がひと続きになっているもの」
なのです。
アメノミナカヌシ(宇宙の始まりの神様)からスタートして、
最初は神様の物語(つまり神話)でしたが、
天照大神(伊勢神宮の神様)が登場し、
その子孫として「神武天皇」が登場します。
これが「初代天皇」ですね。
ここから「歴史」になっていて、
2代目、3代目、・・・とずっと天皇の系譜は続いて、
今の今上陛下まで、
「ずっと1つの王朝が続いている」
のが大きな特徴です。
「王朝が一度も滅びていない」
というのは、世界中で日本だけなんですね。
だから、世界中の王が集まる会でも、
日本の天皇は、ローマ法王よりも上座に座るし、
新しい天皇が即位するとなったら、
世界中のトップが日本に集まるのです。
そして、
神話の世界から、今に至るまでが、
全て1つなぎになっているのです。
そんな不思議な国が日本なのですが、
明治時代以降、だんだん、
「皇国史観」
が採用されるようになりました。
これは、日本書紀における「神話」の部分も、
歴史の一部として考える、というもので、
「日本は、天照大神の末裔である
天皇を中心とした神の国なんだ!」
という価値観を広めて、
愛国心を育てようとしました。
これ自体に、良い悪いは無いのですが、
これが、戦争に結びついてしまったんですよね。
これが極論になると、
神様の末裔である天皇のためにやってるんだから、
何やったってOK!(戦争してもOK!)
となってしまいます。
そこで、戦後、GHQ(アメリカ)によって、
日本の歴史は大きく作り変えられました。
「愛国心」をなくすためのストーリーを
作られたのです。
それが「自虐史観」です。
自虐史観とは、簡単に言うと、
「日本人が罪悪感を持つためのストーリー」
です。
だから、今、学校で教わる歴史を学べば学ぶほど、
「日本はこんな酷かったんだ」
「申し訳ないな」
「生きててすみません」
となってしまうのです。
そして、人は、
「自分が所属するコミュニティに対するイメージは、
自分のセルフイメージに繋がる」
のです。
つまり、自虐史観の歴史を学んだ日本人は、
「潜在意識のストーリーの型」
が、
「全ての物事をネガティブに捉える」
というフィルターになってしまうのです。
例えば、何か失敗をした時に、
「失敗したけど、おかげですごく良い学びをした。
この学びは、自分の将来に大きくプラスになるに違いない!」
って思える人と、
「こんなことで失敗するなんて、なんて自分はダメなやつだ。
やっぱり自分は何やってもダメな人間なんだ。」
って思ってしまう人がいるわけです。
自分の潜在意識にどういうストーリーの型があるか?によって、
人生って大きく変わってしまいます。
そして、日本の学校教育における歴史(自虐史観)を
学べば学ぶほど、物事をネガティブに捉えるような
そんな「ストーリーの型」が、構築されるのです。
だから、日本の学校で学ぶ歴史を、
そのまま「鵜呑み」にするのではなく、
そこにどんな「ストーリーの型」があるのか??
じゃあ、このストーリーの型が変わったら、
歴史はどう捉え方が変わるのか??
そんなことを考えてみると、面白いでしょう。
・・・というわけで、長くなりましたが、
まとめると、世界史はまず、
・ヨーロッパ(西洋史)
・中東
・インド
・中国(東洋史)
・日本
この5つの歴史の流れをざっくりと覚えたら良くて、
中東・インド → ストーリーが”存在しない”
ヨーロッパ → ヒーローズ・ジャーニー
中国 → 短編集(徳によってまとまり、徳が無くなって滅びる)
日本 → 戦後、日本のストーリーの型は「自虐史観」に書き換えられる
という感じで、
それぞれの地方における「ストーリーの型」が
どういうものであるか?を見ていくことが大事になります。
そして、「日本」の歴史に関しては、
もともとはストーリーの型がありました。
それは、
「想い(理念、志)」
があって、それを体現していく、
というストーリーです。
日本の歴史に登場する人たちは、
それぞれ自分の想いがあって、
その実現のために動いているのですが、
戦後、GHQによって、
「自虐史観」というストーリーに
書き換えられることで、
「自分が支配者になりたいから、他を侵略していって、
その結果、罰を受ける」
というストーリーになってしまったのです。
織田信長とかも、そういうイメージを持っている人が多いですよね。
自分勝手にやって、どんどん侵略していったから、
最後は家臣の光秀に裏切られた・・・みたいな。
でも、本当は全く違ったストーリーなんですよね。
事実だけを見るのではなく、
そこにどんな想いがあったのか?を
見ていくことが大事になります。
・・・というわけで、今日は、
ストーリーを通して世界の歴史を学ぶための
基本的な考え方をお伝えしました!
そして、世界史は、中盤で、
「大航海時代」
が始まって、世界中が1つになっていき、
ここから歴史のストーリーの型も変わっていきます。
ここから採用される歴史観の1つ、
つまり「ストーリーの型」は、
マルクスの「階級闘争史観」というものです。
マルクスって、共産主義を作って、
あちこちで戦争を起こすきっかけとなった思想を作った
諸悪の根源みたいなイメージを持たれていて
あんまり良い印象が無いという人が多いのですが、
「新しい歴史観を作った」
という意味では、非常に大きな功績を残した人物なのです。
この辺も、また、見ていけたらと思います!
そして、そのうち、
「中東の歴史を、鬼滅の刃を使って10分で学ぶ」
という企画を考えています。
「こんな一瞬で全体の流れが覚えられるのか!!」
と衝撃を受けると思います。
楽しみにしててください!!
・・・というわけで、今日はこの辺で。
ありがとうございました!
続きはこちら!
世界史から学ぶストーリーの型(その2)