近況

宮台真司さんとの夜、そして僕らが次に灯す火

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こんばんは、新田です。


昨日は、日本を代表する社会学者である
宮台真司先生が楠葉に来てくださり

みんなで一緒に食事をしながら、
色んな話を聞かせていただきました。

宮台先生の知の鋭さと、言葉の重さ。
それでいて、どこか静かに、世界を見渡すようなまなざし。

それを間近で見せていただき、
とても豊かで、刺激的な時間を過ごさせていただきました。

そんな宮台先生ですが、
最後の方で、こんなことを仰っていました。

「もう、学者が世の中を変える時代は70年代で終わったんだ」

・・・と。

宮台先生のこの言葉は、決して絶望によるものではなく、

むしろ、それでも世の中を変えていきたいという
静かな決意がこもっていました。

1970年代と言えば、
学生運動やベトナム戦争、全共闘、マルクス主義の影響、ポスト構造主義など(※用語解説は最後にまとめます)、

「知」と「思想」が、 社会を動かす〝炎〟だった時代でした。


しかし、1980年代以降、
新自由主義(※)や消費社会(※)が進む中で、
〝深く考える知〟は、〝速くて軽い言葉〟に押し流されていきました。

この流れは、時代とともにどんどん加速します。

1990年代に入ると、「わかりやすさ」「キャッチーさ」が求められ、
テレビやマスメディアが“思想”よりも“演出”を優先するようになっていきます。

2000年代にはインターネットが一般化し、誰もが発信できる時代へ。
そうして、思想や哲学はますます“スピードの海”に沈みはじめたのです。

そして、程なくして、
「インターネットビジネス」という業界が誕生。
(僕も、学生時代に起業して、億単位のお金を稼ぐことになります。)

その後、僕は、
「SNSマーケティング」を業界ではじめて広めて、
「若い人たちが起業をする」
という流れを作りました。

これにより、SNSやYouTubeで
「インフルエンサー」として活動する人が
一気に増えました。


そうして、今や、
YouTuberやインフルエンサーの発信が、
学者の論文よりも影響を持つ時代へと変わっていったのです。


(さぁ、じゃあこの先の時代は・・・?)


宮台先生は、

今や、象牙の塔(※)でいくら勉強し、声を上げたとしても、
もう世の中には届かない

と感じられているのだと思います。


だから、宮台先生は、
学者でありながら “現場に立つ” ということをされてきました。

研究室の中だけではなく、
実際にフィールドに出て、女子高生などに取材し
リアルな声を聞いて回ったりしていたのだそうです。


その実践的なアプローチは、社会学の枠を超えて
多くの人に影響を与えたと言われています。


また、最近は、
「森のようちえん」や、小中学生向けのキャンプ、親業ワークショップなど
AIやデジタル技術では代替できない「人間らしさ」を育む場を作ったりと、

単に「論文」を書くだけでなく、
本気で教育や社会全体のあり方を問い直すための取り組みを
実践されている、

日本を代表する学者でありながらも、
60歳を超えてもなお、
「知と行動の融合」を体現しようとされている姿は、
本当にカッコ良いですよね。


さて、宮台先生との出会いを通して、
これからの時代、僕らにできることは何だろう??と
色々と考えさせられました。


僕は、2011年(学生時代)に起業して、
これまで数万人のお客さんがいて、
色んな人のストーリーを作ったり、
「情報発信」を教えてきました。

その中には、今、超有名になっている人もたくさんいます。


僕が当時からずっと言ってきたのは、

「これからの時代、難しい話を翻訳できる人間(架け橋となる人間)が求められるんだ」

ということです。

この考えは、今も変わらず持っています。


これができるようになるためには、

本質的なこと(抽象度の高いこと)を理解する知性と、

それを言語化する翻訳能力(表現力)の両方が必要です。


ただバズればいい、目立てばいいという時代は、もう終わりつつある。
表面的な発信は、すぐに消費されていくからです。


これからは、むしろ逆。

・深い思想(知)を持ち
・それを翻訳し
・誰かの希望に変える

そんな〝知と魂の媒介者〟こそが、
これからのリーダーになっていくと、僕は思っています。


確かに、
「拡散力」
は大事かもしれません。

しかし、それ以上に、
「浸透力」「感化力」
が大事だったりします。

数字ではなく、信頼。

表面的な光ではなく、内側に灯る火を。


僕らが、そういった存在になって、
色んな業界を繋いでいけるようになったらいいなと思っています。


いつか、業界の枠を超えて
多くの人が手を取り合っていける世界を作りたい。


経営者も、インフルエンサーも、アーティストも、クリエイターも、

全員が協力して、「集合知」を作って、

一緒に世の中を変えていく。


そんな時代が、近い未来に必ず来ます。


宮台先生ほどの方が、
若い人たちが集まる場に来てくださり、
夜中まで語ってくださったこと。

そして、僕らの活動を見て、

「本当にすごいことをやってる」
「希望を感じた」

と言ってくださったこと。

これは、本当に意義のあることだし
嬉しかったですね。


僕らも、勇気をもらえたし、

今後も定期的に来てくださるそうなので、

一緒に、世の中を変えていけるよう

協力していけたらなと思います。


僕らも、宮台先生の知の灯に照らしていただきながら、

引き続き、知性を磨きながら、

表現力(発信力)を身につけていけるよう、

日々精進していきたいですね。


世の中を変えるのは、特別な誰かではなく、
静かに言葉を磨き続ける一人ひとりの想いかもしれません。


僕も、大学生の時、
「自分なんかに、何ができるんだろう??」
と思っていた時期がありました。

でも、起業して、多くの人を集め、
気づいたら、時代を変えるような流れが生まれていて、

「本当に、自分たちが世界を変えることができるんだ」

と希望を持てるようになりました。


言葉の奥に火を灯して、
これからも、歩いていきましょう。

その足もとに──まだ見ぬ誰かの希望が、
そっと芽吹いていくと信じて。



<文中用語解説>

◉学生運動
若者が「この社会はおかしい!」と声を上げた1960~70年代の運動。
僕の母校の京都大学でも「京大闘争」として伝説になっています。

◉ベトナム戦争
アメリカが介入した泥沼の戦争。世界中の若者が「戦争反対!」と声を上げ、
そのうねりが、学生運動の火をさらに大きくした背景にも。

◉全共闘
「全学共闘会議」の略で、大学を超えて学生たちが団結し、社会に異議を唱えた運動。
授業を止めてキャンパスを占拠するなど、かつての日本を揺るがした象徴的存在。

◉マルクス主義
資本主義社会の格差や搾取に対して、「みんなが平等に生きる仕組みを」と訴えた思想。
弱者の声をすくいあげるための視点として、多くの学生や知識人に影響を与えました。

◉ポスト構造主義
「常識や正しさって、誰が決めたの?」と問い直す思想の流れ。
性別・国・文化などの“当たり前”を解体して、もっと自由に生きる可能性を示します。

◉新自由主義
「競争こそが社会を強くする」という考え方で、国の支援よりも市場原理を重視。
成果が出せない人が取り残されやすく、格差の拡大にもつながる仕組み。

◉消費社会
「何を持っているか」が「誰か」であるかよりも重視される社会。
内面よりもブランドや流行が評価される“物で心を満たす”価値観が広がりました。

◉象牙(ぞうげ)の塔
学者や研究者が社会から離れて、理論だけを語る場所のたとえ。
「現場の声」と切り離された知では、もう時代は動かせない──そんな問いを含んでいます。