映画「カメラを止めるな!」から学ぶストーリー作りとコミュニティ作り

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こんばんは、新田です。

今日は久しぶりに映画レビューをします。

「君の名は。」以来、映画レビューってして来なかったんですが、
久しぶりにオススメの映画を見つけました。

見つけたのですが・・・

悔しいかな!!

この映画のどこが面白いのか?ってのを説明したいんだけど、
これを説明したら、面白さが半減してしまう!!のです。

というか、予告すらも見ない方がいいです。
予告の動画で一番重要なネタバレをしてしまってます。
公式サイトもYahooレビューも見ちゃダメです。

もし純粋に作品を楽しみたいなら、
一切の事前情報なく見ることをオススメします!



・・・と、ここまで書いて、
もう見た方はピンと来てると思うんですが、
その映画というのが「カメラを止めるな!」という映画です。


この映画ね。
すごかったんですよ。

多分、
「こんなの初めて!!」
っていうくらい、ゾンビ映画の歴史に新たな1ページを加える作品です。

はい、一応、ゾンビ映画です。

なので、ホラーです。
人死ぬシーンとかもあります。一応。

ホラーが絶対無理って人は、観ない方がいいかも。

いや、観てもいいと思うんだけど・・

うーん。笑



で、、もうこれ以上のことは何も言えないんで、
あとは見てください!としか言えないのがすごく残念なんですが・・・



見たぜ!!って人と、

見てないけど、見に行くつもりないから勉強だけしたい!!って人と、

別にネタバレしても楽しめる派だから大丈夫だぜ!!って人のために、

解説を書こうと思います(笑)


ちなみに、本当にネタバレしてても楽しめるはずです。

というか、たとえ観てなくても、
観たのと同じような気分になるよう、構成して解説します。

なので、むしろ、また別の楽しみ方ができるっちゃできます。
(実際、僕ももう1回見たいなって思ったので。)

それでも良いって人は先に読んだらいいんですが、
一番おすすめなのは、

事前情報なしで映画観る
    ↓
  解説を読む
    ↓
もっかい映画を観る

というパターンです。笑





さて。ではいきましょう!!



(以下、ネタバレです!!まだ映画を観てない方は、先に映画を観ることを推奨します!!)


まず、この映画、一応ゾンビ映画と銘打ってますが、
ゾンビ映画は最初の37分だけです。

しかも、その37分間は、一度もカメラを止めない、
「ワンカット映画」なのです。


でも、冒頭で結構驚きます。

普通、ホラー映画って、

Ordinary World(日常の世界)
    ↓
Call to adventure(どこかに行く)
    ↓
   ・・・

って感じで、ゾンビが出てくるまで30分くらいは
平和なシーンを描きますよね。

だけどこの映画、開始5分くらいでもうゾンビ出て来ます。

そこから30分はひたすらゾンビから逃げたり、戦ったりを繰り広げます。


で・・・

この映画の何がすごいか?って言うと、
「最後の10分で、視聴者が溜まったストレスが一気に解放されてスッキリする」
ようにできているのです。


実はこの映画、最初の37分はかなりストレスが溜まります(笑)

まず、カメラ撮る人が下手。

しょっちゅうブレてるんですね。


そして、そこからストーリーが展開していくのですが、
明らかにおかしい点が沢山あるのです。


じゃあ、ストーリーをざっくりと解説します。


最初に冒頭のシーンでは、
廃墟で、ゾンビモノの映画を撮影する、っていう設定で始まります。
ややこしいw

撮影の途中で、本物のゾンビに出くわしてしまった!っていう
まぁよくありがちな設定ですね。


最初、その監督は、やたらとリアリティを追求するため、
なかなかOKを出してくれません。

冒頭はまだ本物のゾンビは出てきておらず、
ゾンビの真似をする男優と、それに怖がる女優のシーンなんですが、
監督は「演技が本物じゃない!」とキレてます。

女優には、

「なんで嘘になるか分かるか!?
お前の人生、今まで生きて来た全てが嘘ばっかりなんだ!!
嘘まみれのその面剥がせよ!!」


と怒鳴り、それを止めようとした男優にも、

「これは俺の映画だ!口を挟むな!!
だいたいテメェはリハの時からグダグダ言いやがって!!」


とキレてます。

いや・・・そこまでキレんでも・・・
というくらいキレています。
あまりにアツすぎて、なんかちょっと違和感があります。


そこでちょっと一旦休憩となって、
主演の女優、男優は休憩します。

男優は女優にこそっと、
「後で一緒にお風呂はいろ」
とか言い出します。

なんだ、この2人付き合ってるのか?!

いや、というか撮影中に一緒に風呂入ること考えてるとか
どんだけプロ意識ないんだコイツ・・・

大抵こういうこと言う男は、後で死ぬんだろうなぁ、
とか色々考えていました。

その後、メイクさんも入れて3人で
休んでいました。

しかし、ここでも違和感が生まれます。


3人の会話が、全然弾まない(笑)

不自然な間が空いたり、質問されても歯切れの悪い返答をしたり。



本来、映画だったら、スムーズで中身のある会話をするものですが、
明らかに不毛で退屈な会話になってしまっています。


まぁ、でもあえてその方が現実味があったりします。

だから、わざとそうしてるのかな・・?と思いました。
(でも、何かがおかしい。)


そんなこんなしてるうちに、ゾンビ登場。

一同、慌てふためきます。


しかし、ここでまた奇妙な点が。

皆が慌てふためく中、
1人の坊主のスタッフが、
一切動じず、じっと座っているのです。


明らかに違和感があります。
でもよく分かんないまま物語は進みます。


リアルゾンビが現れたことに監督は
「このままカメラを回し続けたら最高の映画が撮れる!!撮影を続けるぞ!!」
と興奮しだしました。

ここで、なんで急にゾンビが出たのか?という事について、
監督が語り出そうとします。


しかし、語っている途中で、
さっき座り込んでた坊主のスタッフが、
急に外に出ようとします。

外にはゾンビがいるので、皆が止めようとしますが、
「ちょっと・・・ちょっと・・・」
と言って、出ていってしまいました。






そして、当然殺されます。


いやいやおかしいw

坊主が外に行った理由が全く分からず殺されてしまいます。

普通だったら、

「俺が外に行って車取ってきてやるよ!!」

「待って!外にはまだゾンビが!」

「大丈夫だって。俺はガキの頃ハワイで親父に空手習ってたんだ。
ゾンビなんて一瞬で倒してやるさ。」

    ↓

「ウボァーー!!」


みたいな感じで、序盤で死ぬキャラは
たいてい露骨に死亡フラグ立てて飛び出して死んでいくのが定石です。


でも、まったく外に行った理由が分かりません。

うーん謎だ。

しかしそのまま続きます。

さて、坊主のスタッフが殺されて、
さらに混乱する一同。

そんな中、監督は、
「カメラは止めない!!」
と叫びます。


しかも、なぜかめっちゃカメラ目線です(笑)





ここで言うカメラ目線ってのは、監督が持ってるカメラじゃなくて、
視聴者目線のカメラです。
(ちょっとこの先、分かりにくいので、
視聴者目線のカメラをカメラA、監督の持つカメラをカメラBとします。)


さて、その後、監督は皆が逃げたり戦ったりしている様子をひたすら撮影します。

ここでも疑問が生まれます。

なぜ、ゾンビは監督を一切攻撃しないのか・・・?!


監督は皆がゾンビから逃げたり戦ったりしてるのを
ずっと横でカメラを回してるんですが、
どんなに近づいてもゾンビは監督を一切攻撃しません。


なに?スター状態なの?
ゾンビが認識できない道具でも使ってるの?

って思うくらい、ゾンビは監督を無視します。


ここも、
「まぁB級ホラーだから、そういう設定なのかなぁ」
と思って続けます。


続いて、逃げている途中で、
カメラAが地面に落ちてしまいます。
なので、地面から撮影された映像が流れます。


これも、
「何かの演出なのかな・・・?」
と思いきや、特に必要性を感じません。

しばらくして、再びまたカメラAが持たれます。
そして、そこから手持ち撮影に切り替わり、
ズームイン、ズームアウトがやたらと繰り返されます。


それから、途中で血しぶきがドバーッてなった時に、
カメラAのレンズに血が付いて、画面に血が残ってしまいます。




しばらくそのまま走り続けて、
途中でレンズをハンカチで拭かれます。

これは、ちょっと面白い演出だな、と思いました。


そして、逃げ切ったかと思いきや、再びゾンビが登場します。

しかし、ここでも何かおかしいのです。

再登場したとき、ゾンビの動きが最初よりも明らかに機敏になっているのです。
最初はもっとのっそりとゾンビらしい動きだったのに・・・
ゾンビも進化したのでしょうか??


そんな疑問が残るけど、解消されずに続きます。

そして、屋上まで逃げると、
一緒に逃げていたメイクの女性が、
主人公(ヒロイン)の足に咬み傷があることを発見します。


あぁ、これはよくある展開だ。

きっと、

「私はもうゾンビになるから、あなたたちは逃げて!」

「何言ってんの!私たち仲間でしょ!!
あなたを置いて逃げるなんてできない。
もしあなたがゾンビになったら、私があなたを殺してあげる。
だけど、それまでは一緒にいなさい。
私はあなたがゾンビにならないって方にかけるわ!」

みたいなかっこいいこと言うんだろうな!

と思いきや、

次の瞬間、メイクの女性は斧を振り回してヒロインを殺そうとします。


えぇ?!おねーさんそんなキャラちゃうかったやん!!

ここでもゲシュタルト崩壊。

情にアツそうなキャラだったのに、
ここまで非情とな。


そこに、彼氏が助けに来てくれるのですが、
おねーさんは彼氏の腕をねじります。
「逆小手」と呼ばれている関節技です。

すると彼氏は、

「痛い痛い!!折れる折れる!カメラ止めて!!」

と叫びます。

カメラって言っちゃったよ(笑)

その後、少女が「キャー!!」と叫んで、
そのまま、やたら何度もズームイン、ズームアウトが繰り返されます。

すると、グサっという音が聞こえて、
カメラAが振り返ると、
おねーさんは斧で殺されてしまっています。


その後、少女が逃げて、小屋に隠れて、
怖くてうずくまります。

おっ、これは青鬼ならぬ、
ひっそり隠れてゾンビをやり過ごそうとして
「よし、いなくなった!」と安心した頃に後ろからドーンと来る、
ホラー映画お決まりのパターンだ!!


今度こそ絶対そうなるぞ!!

と思ってたら、次の瞬間ゾンビはあっさり目の前にきます

でも、カメラAに映っているのはゾンビの足だけです。




少女は、そのゾンビの顔をチラっと見ましたが、
なぜかゾンビは少女に気づかずに小屋を出て行ってしまいます。



いやいや、明らかに気づく位置だっただろ!笑

と思うのですが、なんか分かんないけど気づかなかったようです。


ここまで、僕の予想が全く当たらない。

こんなホラー映画初めてです。笑


そして、少女はすぐ外に出ます。


いやいやいや、今ゾンビ出て行ったばっかりなのにすぐ出たらアカンやろ!

とか思うけど、勇敢にも出て行きます。


そして、
「こんなところに斧が!」
とわざとらしい説明口調で言って、斧を拾います。


少女が再び屋上に登ると、そこには彼氏が。

しかし、彼氏はすでにゾンビになってしまっていました。


少女は、
「お願い!目を覚まして!!」
と叫びます。

すると、彼氏ゾンビの動きが止まったので、
ホッとした少女が彼氏の手に触れようとすると、
再び襲いかかって来ます。

すると、また少女は、
「お願い!目を覚まして!!」
と叫びます。

すると、再び彼氏ゾンビの動きが止まったので、
少女がまた彼氏の手に触れようとすると、再び襲いかかって来ます。


なぜ2回やったし!

するとまた少女は「お願い!目を覚まして!!」と叫びます。

おいおい3回もやるのは流石にどうなんだ・・・


そんな中、殺されたはずのメイクのおねーさんが起き上がり、
「何あれ・・?!」
と言い出します。


その直後、メイクのおねーさんはまた倒れてフレームアウトします。


そして、少女は「愛してる・・」と言って、
彼氏ゾンビの首を斧で切り落としたのです。


そして、腹立ってついでに監督も殺してしまいます。


少女1人が屋上に立っていると、
そのままカメラAが高く登っていって、
上空から彼女を見下ろします。

すると、そこには血糊で書かれた五芒星がありました。

実は、監督が、血糊を使ってゾンビを呼び寄せる儀式をやっていたんだ、
ってことがそこで判明します。


でも、上空から撮影してるから、
ドローンかクレーンを使ってるはずなのに、
なぜか最後にやたら手ブレを起こします。



そして、画面上にONE CUT OF THE DEADというロゴが出て、
エンドロールが流れます。


・・・という感じのストーリーです!
うる覚えなのと、ややこしいところはあえてカットしてますが、
だいたい説明したと思います。






<ここから本当にネタバレです!!大丈夫ですか?!>


さて、エンドロールが流れて、
ここで終わり?!かと思いきや、
「カーット!!」
という監督の言葉が聞こえて、場面が切り替わります。


そこで、あぁ、そういうことか!と分かります。

僕はこの映画、ゾンビ映画だって聞いていたので、
こういうゾンビのシーンが永遠と続くものかと思っていたら、
実は、前半37分は、すべて、監督自らが作った作品で、
その作品をいかにして作ったか?というのが
本編だったのです。


ややこしいですね(笑)


つまり、

「ゾンビ映画を撮影しようとしてたら、ホンモノのゾンビに会っちゃった!」
というホラー映画を観にきたと思っていたら、
「ゾンビ映画を撮影しようとしてたら、ホンモノのゾンビに会っちゃった!・・というという設定の映画」
を作る話を描いたコメディ映画だった


ってことです。
(つまり、ゾンビは全部作りものだった)





こんな感じで、カメラBで撮影している風景を、
カメラAで撮っていて、これを作品として作ろう!というストーリーです。


だから、前半は完全にシリアスなホラー映画なのに、
後半から急に明るくなり、コメディになります。

しかも、さっきまで手ブレしまくってたのに、
ここから急にカメラの性能も上がります。

ここからも、
「さっきまでの話は創作だったんです」
っていうことが分かります。


普通のホラー映画は、

Ordinary World(日常の世界)→ Special World(新世界)

なのに、この映画では、逆なのです。


この構造は、ハンターハンターの冨樫先生が昔描いた、
レベルEという作品でも同じ話がありました。

人を食べる宇宙人の物語で、シリアス展開だったのに、
最後で実はそれが王子の作った創作だった、というオチなのです。


事前情報なく観にきていた人は、
ここでまず、「なるほどー!!やられた!」となります。


ただ、すごいのはここからです。

前半でずっとモヤモヤしていた部分が、
後半で全て解消されるのです。


この映画、実は生放送で行われるもので、
37分間、完全一発撮りでカメラを一切止めない、というルールがありました。




普通の映画だったら、何か失敗したらカットして、
やり直すことができます。

しかしこの映画は、「本番一発撮り」なので、
途中でトラブルがあっても、続けないといけなかったのです。


しかし、いざ本番をやろうとしたら、
次々と問題が勃発します。

まず、役者が2人、事故で来れなくなってしまいます。

しかも、その役が、監督とメイク役という、
主演級の2人。

さぁ、困った!ってなった時に、
この映画の監督が、自ら監督役をやる!と言います。

さらに、監督の奥さんが元女優だったということで、
メイク役をやることになりました。
(それを推薦したのは、監督の娘です。)


しかし、そこに文句を言ってきたのが
彼氏役の人です。


彼は、

「配役が来ないなら、注視すべきだ!」

と彼は主張します。


彼は、自分が出る作品がコケるのを恐れて、
万全の状態じゃないなら自分は出ないと言い出します。

それをなんとか監督は説得します。


監督は、だんだんイライラが募っていました。

彼氏は何度も文句を言って来て出たくないと言うし、
ヒロインの少女も、
「ゾンビにゲロ吐きかけられるってシーン、
私は全然いいんですけど、事務所的にNGかな〜」

と駄々をこねられます。

いや、絶対それお前が嫌なだけだろ!
っていう感じですが、駄々をこねられるので仕方なく差し替えられました。


そんなこんなで、かなりストレスが溜まっていた監督は、
映画冒頭で、キレてしまいます。

女優に、

「なんで嘘になるか分かるか!?
お前の人生、今まで生きて来た全てが嘘ばっかりなんだ!!
嘘まみれのその面剥がせよ!!」


と怒鳴り、それを止めようとした彼氏役にも、

「これは俺の映画だ!口を挟むな!!
だいたいテメェはリハの時からグダグダ言いやがって!!」


とキレました。


なぜ、いきなりキレていたのか?
映画の冒頭での謎の違和感が、ここで解消されます。


次に、最初のゾンビ役だった人が、
なんと、本番当日に、差し入れで送られた酒を飲んで
ベロンベロンに酔っ払ってしまいました。

(ちなみに、僕は、とあるバイトの経験があって、
仕事中に酒でベロンベロンになる人が嫌いです。
まぁそれはどうでもいいんですけど。笑)


酔っ払った彼は途中で倒れてしまって、
それを監督が起こそうとすると、廃墟の扉にぶつかってしまいます。

これを受けて、まずいと思ったADは、

「トラブル発生、つないで!」

とカンペを出したのです。


そこで3人(少女、彼氏、メイク役)は、
その場つなぎの会話を始めました。

しかし、会話は盛り上がりません。


ここで2つ目の謎が解決します。

なぜ、不毛な会話のシーンがあったのか?というと、
1カット映像だから、カメラを止めることができないため、
トラブルが発生したら無理やり引き伸ばして繋がなければいけなかったのです。



そして、次に、坊主のスタッフのシーン。

実は彼は、硬水を飲むとお腹を壊してしまう体質で、
必ず軟水を飲むようにしていました。

しかし、本番当日、間違って硬水を飲んでしまい、
本番中に、お腹を壊してしまったのです。


だから、お腹が痛くて、ずっと止まっていたし、
お腹を下していたため、ゾンビがいるにも関わらず、
排泄するため、外に出て行ったのです。

これで3つ目の謎が解決しました。


その後、監督は、
「カメラは止めない!」
とカメラ目線で言います。





これは、劇中で「ゾンビの撮影を続行する」という意味でもあるし、
「トラブルが起こったけどこの映画自体のカメラを止めずに続けるぞ!」
という意味も込めて、あえてカメラ目線で言ったのです。

つまり、カメラA、カメラBの両方を止めない!と二重の意味で言ったわけです。


そして、撮影中、途中でカメラマン(カメラAの)が、
こけて、地面に頭を打って気絶してしまいます。

それによって、しばらくカメラが地面に落ちたまま動きませんでした。

そこで急遽、カメラ助手の女の子が、
カメラAを持って、撮影を再開します。

実は彼女、ズームイン、ズームアウトをずっとやりたいと思っていて、
せっかく自分がカメラを手にしたからと、
やたらとズームイン、ズームアウトを繰り返しました。


途中で、最初に出て来たゾンビが、
やたらと機敏な動きになって復活していました。

これは要するに、
最初はベロンベロンに酔っ払っていたけど
ようやく酔いが覚めて来たということなのでしょう。



さて、続いて、屋上のシーン。
ここで、最大の問題が起きます。

役に入りすぎてしまったメイク役の女性(監督の奥さん)が、
台本を無視して、少女役を斧で殺す、と言い始めたのです。



実は彼女、もともと女優だったけど、
役にハマりすぎてしまうという欠点があって、
毎回、台本を無視したりして、干されてしまったのです。

今回も、その欠点が出てしまいました。


なんとか彼氏が止めようとするも、
関節技をかけられてしまいます。

それで、思わず、

「痛い痛い!!折れる折れる!カメラ止めて!!」

と叫んでしまったのです。


さらに彼は、ふらついて、
最後のシーンで使うはずだった
クレーンを倒して、壊してしまったのです。


クレーンは、ラストシーンで上空から撮影するために使うはずだったものです。

思わぬアクシデントに、
とりあえず監督は少女に叫び続けるように指示を出して、
少女は「きゃーー!」と何度も叫び続け、
そして不自然なズームイン、ズームアウトが繰り返されました。

その間に、スタッフがメイクのおねーさんを取り押さえて、
首を絞めて失神させ、斧を頭にさして、殺されたことにしておきました。


それで、なんとか台本に戻し、少女は下に降りて行きました。


しかし、ここでまた困ったことが起きます。

ラストシーンで使うはずだった斧(小道具)が、
メイクのおねーさんを殺すために使ってしまったのです。


そこで急遽、予備の斧を小屋の前に置いて、
それを拾ってもらうことにしました。



そこで、ADは、足をゾンビのメイクをして小屋に入って、
少女の前に来ます。


少女が顔を上げると、そこには、
「外で斧で拾って!」
というカンペが。






少女がカンペを見たと分かったら、ゾンビは外に出て行きました。

そして、少女も外に出て、斧を拾いに行ったのです。


ここで、ようやく小屋のシーンの謎が分かりました。

なぜ、少女の目の前までわざわざゾンビが来たのか?というと、
カンペを見せるためだったのです。



さて、いよいよ最後のシーンです。

クレーンが壊れてしまい、上空からの撮影ができません。

でも、この物語のオチは、
上空から撮影したら、血の五芒星が書いてあって、
これでゾンビを召喚したんだ、っていうことでした。

なので、クレーンが無いと、オチが付けられないのです。

さぁ困った!


一度は諦めようとした時に、声をあげたのは監督の娘です。

実は彼女は、途中でもちょくちょく口を出していたのですが、
監督顔負けなほど、的確に指示を出していたのです。

彼女は、
「今、動ける人何人いる??」
と聞きます。


そして最後のシーン。

坊主のスタッフ、酒飲みの人、カメラマン、ADと、
皆勢揃いして、組体操の人間ピラミッドを作ります。

しかし、ピラミッドはなかなか完成しません。

そこで、少女と彼氏は、
同じ演技を三度もして、時間稼ぎをしました。



その直後、首を絞められて失神していたメイクのおねーさんが
息を吹き返してしまいます。

彼女は、組体操をしている人たちを見て、
「何あれ・・?!」
と言ってしまいました。


それを見てすかさず監督が彼女を引っ張り、
画面外に出します。

そして、少女は斧を振り下ろして、自分の彼氏、そして監督を殺す演技をします。


少女は、小声で監督に「もうムチャクチャです」と言って泣き出します。

監督は小声で、「その涙だよ。出来るじゃないか。」と少女を褒めます。


そして、少女が五芒星のところに歩いていきます。


いよいよラストシーン!!


クレーンが壊れた代わりに、全員で人間ピラミッドを作り、
その頂上に、監督が登り、さらに監督が娘を肩車して、
娘がカメラを持ちます。






残りあと10秒!!

みんな、ふんばれ!!!

という感じで、全員が死ぬ気で支えます。

もう肉体の限界まできていて、
体がプルプル震えて、映像もブレますが、
なんとか最後までやりきり、終了!



一連の映像を見ていたプロデューサーは、
「いやぁ〜トラブルもなく無事終わって良かったです」
と満足気。





スタッフは皆で、「最後までやりきった!!」と満面の笑顔。


ここで物語は終了です。




ふぅ、長かった!!笑


さぁ、こっから解説です。

前半37分は、とにかく意味不明なシーンが多すぎて、
「んん??なんだこれ??」
というのがどんどん溜まっていくように、
わざと作られていたのです。

こういう状態を、心理学用語で「認知不協和」と言います。

人は、認知不協和に陥ると、
「なんとかしてこのモヤモヤを解消してスッキリたい!!」
と思うのです。

これは、文章を書くときに僕もよく使っています。


この記事の冒頭で、こんなことを書きました。


なので、ホラーです。
人死ぬシーンとかもあります。一応。

ホラーが絶対無理って人は、観ない方がいいかも。

いや、観てもいいと思うんだけど・・

うーん。笑



わざと曖昧な表現をして、
「ん??どういうことだ??」
と違和感をあえて入れています。

でも、読んでいくうちに、
「あぁ、人が死ぬっていうのは、あくまでお芝居だったんだけど
それを言っちゃうとネタバレになるからあえて微妙な表現をしてたんだ。」
ってことが分かり、スッキリするようになっています。

こういう風に使うワケですね。


さて、この映画でも、「ん?よく分からないな」というモヤモヤが頻繁に生まれます。

でも、一向に解消されず、
どんどん謎が増え、ストレスが溜まってきます。


この映画が良かったのは、
「自主上映映画だった」
というのもあると思います。

もしこれがハリウッド映画だったら、
冒頭の手ブレするわストーリー雑いわで、
明らかに違和感だらけの映像を見て、
「これは絶対裏がある!」
とピンと来たでしょう。


しかし、
「まぁ、自主上映だから、こんなもんか・・・」
と何の事前情報もない人は騙されるのです。

それが、後半で急にカメラワークが良くなり、
手ブレも一切しなくなり、
さらに、最後の10分間で、
一気に全ての謎が解き明かされるのです。


あぁぁ!!そういうことだったのか!!
という連続で、まるで全ての謎が一瞬で解けたコナン君のような気分になります。


思わず、

気持ちいい!!

と叫びたくなるほどでした。


これは、僕がよく解説している、
「ストーリーの再消費」
の仕組みです。


例えば、以前、「アナと雪の女王」のレビューで、
なぜ、この映画がヒットしたのか?を解説しました(あくまで個人的な意見)。

あの映画がすごいところは、
先に、一番盛り上がるシーンである、
エルサがレリゴーを歌うシーンを、
全部CMで公開しちゃったのです。



当時は、
ここ一番良いシーンなのに全部公開しちゃうの?!
って感じだったんですが、
実際に見ると、その理由が分かりました。


あの歌(Let it go)の歌詞は、
あのシーンまでの全ての物語を見たときに、
はじめて意味が分かるようにできていたのです。


だから、最初にCMであの歌を何度見ていたとしても、
劇場で聞いたときに、
「なるほど!!そういうことか!!」
と楽しめるわけです。

これがストーリーの再消費です。


そういえば以前、「君の名は。」の映画を解説した記事を書いたことがありますが、
あれも、ストーリーの再消費ができるように書いたのです。
だから「解説を聞いて二度目見たら、一度目より面白かったです!」というメールが
大量に来ていました。

そんな風に、ストーリーというのは、
次元を1つ上げることで、
再び楽しめるのです。

この「次元上昇」というのが鍵です。


この映画は、最初は消費者視点で、
次に製作者視点で描かれていました。

次元が上昇して、情報が増えたことで、
最初と同じストーリーを、再消費できたのです。


最初は、
「何でこんなシーンあるんだ?」
とか、
「これ明らかに設定ミスだろ!」
とか色々ツッコミたくなる部分が多かったのですが、
実は、それらは全て、意味があることで、
むしろあらゆるシーンが緻密に計算されていたんだ、
ということが後で分かります。


これって、人生でも同じなんじゃないかなと思うのです。

Story Writingの講座では、

「人生は自分が主人公の物語であり、
それがどんな物語かは最後になってみないと分からない」


という話をしました。


一見無駄に思える出来事、
あるいは苦しかった経験、辛い記憶など、
「闇」となるものは、実は大きな意味を持つ、
大事な経験だということが後で分かります。

自分の人生の目的、ゴールが分かったときに、
「あぁ、何だ、全部繋がってたんだ!!」
と分かるのです。


これは、別の講座「NEXT DIMENSION」でも、
「人生のアーキタイプ」というところで解説しました。


「カメラを止められない、ワンカットストーリー」
というのは、まさに人生と同じです。

はいカット!やり直し!

なんてできません。


常に想定外のことが起こり、
その都度、軌道修正していかないといけないのです。


この映画も、1つのゴールに向けて、
皆で物語を紡いでいきます。


あちこちで失敗を繰り返しながら、
お互い助け合いながら、物語を進めていき、
最後は皆でピラミッドを作り、物語を完成させたのです。


人は、困難を乗り越えて成長するものです。


この物語は、色んな人たちの「物語」が
複雑に絡み合っています。

それぞれの人に、「成長物語」があるのです。


この「物語の多重構造化」というのは、
神話の法則の解説をするときによく「タイタニック」を事例に挙げています。

タイタニックは、
ジャックのヒーロー的冒険物語
ローズのシンデレラストーリー
科学者の精神的成長物語
など、様々な人間の「冒険物語」を描いています。

それぞれの人にテーマがあって、
作品全体を通して、そのテーマを乗り越え、
成長しているのです。


この映画「カメラは止めるな!」も同じで、
それぞれのキャラにテーマがあって、
「皆で力を合わせる!」
ということを通して、成長しています。


特に、この映画全体の主人公である監督は、
もともと何の信念もなく、
「安くてそこそこの映画が撮れたらそれでいい」
とか言っている、何のプロ意識もない人間でした。

女優がわがままを言えば、
しょうがないなぁと笑って許してしまう、
文句ばかり言ってくる男優のご機嫌を一生懸命とる、
仕事に対するこだわりが全く無い人でした。


そんな彼を変えたのが「絶望的な状況」です。

キャストが2人も来れないということから始まり、
次々と起こる絶望的な状況を前に、
なんども「作品を中止した方がいいんじゃないか」と周りから言われる中、
覚悟を決めて、絶対に最後までやりきろう!と決意したのです。


腹が決まったから、彼は覚醒したのです。

最初のシーンで彼はキレていましたが、
あれは、自分の仕事に対する信念ができたから、
プロとして2人を怒ったともとれます。


その後も、次々と絶望的な状況に追い込まれながらも、
その瞬間瞬間のひらめきによって
次々と乗り越えていきます。


そうやって、1つの作品を完成させた時、
彼は仕事に対する向き合い方がガラリと変わっていました。


仕事だけじゃありません。

家族との関わり方も変わっていたでしょう。


娘は、最後のピラミッドの発想を、
幼少期に父に肩車をしてカメラを回していた記憶があったことを
ヒントにして生み出しています。

娘もまた、
「立派な監督になりたい!」
とずっと思っていたのです。

そんな彼女の信念が、神がかり的アイデアを生み出し、
親子が協力して、困難を乗り越えた、
「家族の絆」も描いているのです。


そんな、色んなテーマを含んだ良作品でした!


ちなみに、今回の映画、
教えてもらったのはNEXTDIMENSIONの小田さんで、
小田さんは僕より1日早く観に行ってたんですが、
観終わった後、こんな分析をしていて、
僕とは全く違った視点で、これも非常に面白いので紹介します。

(ここから小田さんの分析)

あの映画のキャラクターは、
1人1人が欠点を抱えています。

酒を飲んだらおかしくなってしまう人

硬水を飲んだらお腹を壊してしまう人

役に入り込みすぎると暴走してしまう人

etc..


それぞれのキャラクターが、必ず欠点を抱えています。

そして、何か大きなことに挑戦しようと思った時って、
必ずその欠点が浮き彫りになってきます。


だから実際に、本番になって、
予定にはなかったような出来事が立て続けに起こりました。


しかし、あの映画のキャラクターは、
全員が、それぞれの欠点を互いに補い合うことで、
欠点(マイナス)をむしろプラスに変えてしまったのです。


そして、それぞれの欠点を克服し、
最後は全員が「この映画を完成させる」という1つの目標に向かって、
力を合わせて成し遂げたのです。


もし、誰か1人でも、心折れたり、迎合したり、妥協したら、
これは成し遂げられなかったでしょう。

何よりコミュニティリーダーである監督が、
「絶対にカメラを止めない!!」
という信念を持って、最後まで絶対に諦めなかったからこそ、
チームが1つにまとまったのです。


コミュニティ運営で大事なのは、
「コミュニティが紡いでいるストーリーを止めないこと」
です。


皆が、自分の都合よりも、
コミュニティのストーリーを進めることを優先することで、
勝手にそれぞれの欠点は克服され、強みが発揮され、活躍し、
最後は全員が笑顔になる結果を作れます。


むしろ、誰も欠点がなかったら、
誰の強みも発揮されません。


ある人の欠点が、ある人の強みを引き出し、
それがまた別の人の欠点を補い、
という風に、複雑に絡み合って、
全体を通して見たら美しい物語になっている。


そんな、
「最高のコミュニティ作り」
が学べる映画だった、という風に小田さんは言っていました。


また、NEXTDIMENSIONの伝授コースで占いを教えてくれている羽賀さんは、
この映画を神道的に見ていて、
「イザナギとイザナミの神話が隠されている映画」
という風に分析していて、これも非常に面白かったです。
(ただ、これはもう説明するとワケ分かんないと思うんで、
ここではやめておきます。)


こんな風に、映画って皆で見に行って、
それぞれのフィルターで気づいたことをシェアし合うと
とても面白いですね。


ぜひ、自分なりに、映画を分析してみて下さい。

今回紹介した映画は、とても良い素材だと思います!!


それでは、今日はこの辺で。

ありがとうございました。




君の名は。の解説も合わせてどうぞ!!
君の名は。の気になるあのシーンを解説!




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