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おにぎりを食べてセミナー資料を捨てた話

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これは、とあるセミナーの2日前の事。

僕は、ある温泉旅館に泊まっていました。


僕は集中して作業をしたい時に、
温泉旅館に行く事があります。

ちゃんとした温泉旅館はご飯も美味しいし、
静かなので集中して作業できるし、
仕事をして疲れたら温泉に入ってリフレッシュできます。

なので、たまに、平日に2〜3日くらい泊まったりもします。


平日だと人もほとんどいなくて、
僕みたいに夜中に仕事したりする人にとっては最高です。
温泉は人いなくてほぼ貸し切りみたいになるので、
3泊もすると結構値段もするのですが、十分価値があります。


その日も、翌々日のセミナーに向けて、
色んな本を読んで、一生懸命資料を作っていたのです。


大体できたなぁというところで、
僕は夕食をとりました。

温泉旅館とかで何泊もすると、それなりに良い所だと、
2日目から食事がアップグレードされるのです。

それがちょっとした楽しみでもあります。


良い食事を取るかどうかで仕事の能率は大きく変わります。

安い居酒屋とかで食べた後は、
胃がもたれ、消化にエネルギーを使い過ぎて、
仕事にエネルギーを割けません。


本当に良い食材を使っているお店は、
消化にエネルギーを使わずに済むので、
食べた後に仕事が非常に捗るのです。


食べる時は、なるべく仕事の事は考えないようにします。

美味しく食べて、しっかりとエネルギーをチャージした方が、
その後の仕事のパフォーマンスは上がるからです。


そして、その日も、資料は大体作り終えたし、
美味しい物を食べて、残りをサクっと仕上げて、
のんびり温泉でも浸かって疲れを取ろうと、
そう思っていました。


しかし、僕は、ご飯を食べた後、
ある理由により、それまでに作っていた資料を全て捨てる事になるのです。


それは、食事を済ませて、
さぁ、部屋に戻ろう、という時でした。

旅館にいたおばちゃんが来て、言ったのです。


「あら、ご飯がまだ残っているねぇ。」


僕は基本的に、出されたものを残したりはしないのですが、
旅館とかの場合、白米は茶碗に盛られるのとは別に、
炊飯器に入れていつでもお代わりができるように置いてくれているのです。

つまり、もともと全部食べられる事を想定していないし、
全て食べきれる人なんてほとんどいないのです。


その残っている白米を見て、おばちゃんが言いました。


「お兄さん若いから、夜お腹すくやろ。
折角だから、おにぎり作ってあげようか。
ちょっと待っててな。」


そう言って、おばちゃんは、
炊飯器を厨房に持っていって、
おにぎりを握って持って来てくれました。


白米に、ちりめん山椒を混ぜて、おにぎりにしたもので、
それをお皿に何個か乗せて、
さらに沢庵も添えて、サランラップで包んでくれたのです。


僕は大体、旅館とかに来ると夜中まで作業をして、
途中でお腹がすくので、とてもありがたかったのです。


でも、その日は夕食を取るのが早かったので、
部屋に戻って、しばらく時間が経ってから、
さっそくもらったおにぎりを食べました。

それが、とても美味しい。


もう時間が経って少し冷えているのに、
食べると体が温かくなる感覚。

いやぁ、美味しいなぁ、と思って、
食べながら、ふと思ったのです。


「またこの旅館来たいなぁ。」


そう思った直後、
僕は、作っていた資料を全て、
捨てる事にしたのです。


そこには、それまで1ヶ月くらいかけて調べたり、
今まで自分が実践してきた細かいマーケティングの手法、
コピーライティングのテクニック、
リピート戦略や、口コミを起こす方法など
様々な事を書いていました。


きっとどれも役に立つし、喜ばれたと思います。


でも、僕がおにぎりを食べて、
「またこの旅館に来たい」
と思った理由は、僕が作った資料のどれを見ても、
説明がつかなかったのです。


という事は、それはテクニックとしては優れたものであっても、
本質では無い、という事です。


本質でない事を教えるのは、違うよなと、

おにぎりを作ってくれたおばちゃんに失礼だ、と思ったのです。


その旅館は、料理は非常に美味しいし、温泉のクオリティも高いし、
静かだし、仕事をする環境としても最高でした。

しかし、そのどれもが、リピートしようと思う動機にはならなかったのです。

僕がリピートしようと決断した理由はそのどれでも無く、
「おにぎり」だったのです。


おにぎりには、コストはほとんどかかっていません。

その旅館で出された料理は非常に良い食材を使っているので、
コストで言えばそちらの方がはるかに大きいし、
他にも色んなところにお金をかけています。


それに対して、おにぎりは、
そもそも、残ったご飯で作ったものなので、
実質的にはコストはかからず、かかった時間も1分程度です。


でも、よくよく考えた時に、
今まで色んな旅館に行ったけれど、
そういえば残ったご飯でおにぎりを作ってくれた所なんて
一度も無かったよなぁと、そう思ったのです。


人が何かのサービスをリピートしたい、と思う理由って、
こんなモンなんですよね。

どれだけお金をかけたり、仕組みを作ったりするより、
目の前の人がこんな事したら喜んでくれるよな、って事を、
純粋にしてあげれるかどうかなんです。


これって聞いたら「当たり前の事」だし、
そりゃあ色んな本で何度も読んでるし、
色んなセミナーで耳にタコもイカもできるくらい聞いてるし、
ずっと大事にして来た事でした。

しかし「腑に落ちる度合い」と言いましょうか、
おにぎりを食べた時に「あ、そうだよな」って思ったという事は、
完全には理解していなかったのかもしれません。

こんな当たり前の事を、
ずっと大事にしてきた事を、
今更になって改めて思い知らされたのです。


その瞬間、僕の中から、感謝の気持ちが湧き出てきました。


だって僕は、その旅館に行く事で、
集中できて仕事が捗ったばかりではなく、
人生の大きなヒントまで貰って、
おまけにこうしてメルマガで書くネタまで貰ったのです。


コストに対するリターンが凄まじいです。

そもそもコストとリターンと言っている時点でズレていたのかもしれません。
それを超えた概念をもらった感じです。



そういえば、自分で言うのも変な話なんですが、
最近「自分成長したな」と思える事が1つあって、
「全然良くなかったトコ」に行っても、
「得した!」と思えるのです。


良くなかった所(ホテル、旅館、レストラン、etc..)に行けば、
「何で微妙だと思ったんだろう?」
「何を改善すれば良いんだろう?」
と考えるきっかけになります。

特に、例えば料理は凄く美味しいのに、
何故か食べ終わった後に「もう来ないかな」って思う店もあるんですよね。


それを一生懸命言語化したら、
「打ち出している世界観と、お店にあったコレが合ってないな」
とか、
「店員さんの料理の置き方」
とか、細かいトコが色々分かって来ます。


それらは全て反面教師になります。

「自分は同じ過ちをしないよう気を付けよう」

と。

逆に言ったら、それを裏返す事で、
強みを作るポイントが見つかったりもします。


特に最近はまたレストランなどのコンサルも増やしていこうと思っているので、
そういう時に話すネタにもなったりするんですよね。


だから、どんなに酷いサービスを受けても、
「損をした」と思う事が無くなったのです。


いつからだろう。

進撃の巨人の映画(実写)を観た時からかなぁ(笑)


酷い映画だったのに、観て良かったと思ったんですよね。


まぁそれは良いとして、
そんな感じで「得したなぁ」と思う感覚は、
大事にするようにしています。


しかも、それは「商品の良い、悪いに関わらず」です。

「損したなぁ」と思った時ほど、
実は得をしているのです。


レストランとかに行った時に、
別にコンサルをしてるわけじゃないのですが、
それとなく「ここってこうするともっと良い」という事を
ぽろっと言う事があります。

結構喜んでくれます。

時々サービスしてくれたりします。



「そういうのやってみたら?」
とセミナーで言ってみたら、皆が結構やるようになって、そしたら、
「どこかお店に行くと、その度にコンサル契約が取れるようになりました!」
という方がチラホラ出て来ました(笑)


だって、自分のお店を改善する事を考えてくれるお客さんですよ、

「もっとこの人から話聞きたい」

ってなるんですよね。


そういうお客さんは大事にされるに決まってます。


だから、コンサルタントの視点を持っていると、
普通に生きてるだけで、どんどんお客さんは増えていくのです。

お客さんが増えなくとも、色んな優遇をされます。



「集客ができない」

って悩む人に僕がよく言っているのは、
目の前の人にまず何ができるかを考える癖を付けた方が良いという事です。


そして、ここで言う「目の前の人」とは、
決してお客さんである必要は無い、という事です。

どこかお店に行って、誰かに会った時に、
「この人に何かしてあげれないだろうか?」
と考える。

あるいは、セミナーに行ったなら、
「このセミナーで、ここにいる人達、あるいは講師の人が喜ぶ事って何だろう?」
とか。


最近は、セミナーを開いたら、皆が
「空気がきれいになるように、こういうの持って来ました」
とスプレーで水を撒いてくれたり、良い匂いのするものを持って来てくれたり、
お香を焚いてくれたり、お花を持って来て飾ってくれたり、
そういった事を1人1人がしてくれるお陰で、雰囲気が良くなりました。
(あ、セミナー会場によっては、お香とかNGのところもあるので、それはご注意ください。)


日頃からそういう事をやってる人って
それが「当たり前」になって、
お客さんにも自然にできると思うんですよ。


おにぎりを握ってくれたおばちゃんも、

「よし、このおにぎりをあげて、信頼残高を高めれば、
きっとそれがリピートにつながって売り上げアップするぜ!」

とか思ってなかったと思うんですよ。
(むしろ、そう思ってたら僕は気付いたし、逆に冷めてたと思います。)


最初は、売り上げを伸ばすテクニックとか色々学んでもいいんですが、
いずれは卒業したら良いんです。


それに改めて気付かせてくれた、
おにぎりのおばちゃんの感謝!


そう思って、気分良く、僕は温泉に向かいました。

すると、遅い時間にご飯を食べた老夫婦がちょうど戻って来ました。


2人が楽しそうに歩いていて、
その手には、僕がもらったおにぎりと全く同じものが・・・!


僕は思いました。

やっぱり仕組み化も大事だよなぁと。





PS.
この数年後、さらに「光のおにぎり」に出会い、
世の中にこんなすごいおにぎりがあるんだ・・・!と
感動することになります。
その話は、またいずれどこかで!!